鍼灸師は、女性のライフサイクルの中で、思春期から妊娠期から分娩、産後ケア、子育て支援や更年期、老年期にも関わっています。小児期から産科や婦人科分野でも活動しています。今までの広報・連携について紹介します。

 

1/岩波新書「鍼灸の挑戦―自然治癒力を生かす」松田博公先生著に、 『安産のためのつぼ療法』が紹介され、今までの活動をとりあげていただいています。

2/助産婦雑誌」54巻5号(2000年5月号)特集/周産期ホリスティック・ケア「助産婦さん!地域医療チームとして連携を図っていきましょう」辻内敬子・せりえ鍼灸室、女性鍼灸師フォーラム発起人/代表・女性と子どものための女性鍼灸師グループ 「ぷれる」1995年~2002年まで代表)

3/2001年に開催された全国の「いいお産の日」ネットワーク行事

 女性鍼灸師フォーラム主催 神奈川県/横浜市健康福祉総合センター

 12月5日「赤ちゃんとの出会い」を望むからだづくりを考える

4/いいお産の日 2003 東京イベント

厚生労働省主催、子ども未来財団共催、に参加しました。11月3日は「いいお産の日」として、より安全で快適な出産と母乳哺育をめざして、一般市民と医療関係者の交流と情報交換を行なう場として、1994年からイベントを開催し、今年で10周年を迎えるまでになりました。そして、今では全国30個所ほどで同様のイベントが開催されるようになるなどお産関係のネットワークを広げております。今年は、健全な出産から子育てまでを視野に入れた次世代育成のための事業の一環として、厚生労働省、こども未来財団主催、いいお産プロジェクト(NPO法人)共催で、2003年11月3日に『「いいお産の日」シンポジウム』が開催されることになりました。

☆ いいお産の日イベント

私たちは女性鍼灸師フォーラムは、妊娠・出産・子育ての大切な時期にこそ、上手に心身両面の健康管理や予防医学の考えを持ち、セルフケアとして、代替・相補・伝統医療が取り入れられれば、と願っています。今年は、健やか親子21推進協議会課題2に登録した参加団体および、関連する専門家によるNPO法人、今までのいいお産の日ネットワーク関連団体の参加が可能となり、女性鍼灸師フォーラムと、女性と子どものための女性鍼灸師グループ「ぷれる」が同じ鍼灸ブースで参加しました。「ぷれる」は、全員が女性鍼灸師フォーラム会員であり、女性鍼灸師フォーラムを設立のきっかけとなったグループで、設立時からの仲間です。「女性鍼灸師フォーラム」は、妊娠・出産期の鍼灸医療情報提示(妊娠期の鍼灸治療の有用性を知っていただきたいとパネル展示)を行い、8Fネットワークの部屋に参加しました。当日は女性鍼灸師フォーラム会員の皆様のご来場ありがとうございました。また多くの方に妊娠・出産の鍼灸治療について興味と関心を持っていただけました。来場者1200名あまり、大盛況な1日でした。

5/日本鍼灸マッサージ新聞 2003年11月号

 2002年は女性鍼灸師もいいお産と母乳育児・子育てに関わっていますと、

いままでの活動を紹介する機会をいただきました。

6/2005年2月13日 三重県の三団体の共催による会がありました。(社)三重県鍼灸師会(社)三重県鍼灸マッサージ師会(社)全日本鍼灸学会三重地方会。三重の地でも妊婦さんや産後のお母さんのための活動が広がります。タイトルは以下の通りでした。学生や愛知の鍼灸師、マッサージ師の方々も参加してくださいました。

『妊娠・出産・母乳育児のための東洋医学』

 1)妊婦さんをめぐる医療関係者との連携

 2)妊娠、出産時の鍼灸治療(実技を交えて)

7/2005年3月7日東京都  渋谷日赤医療センター

妊婦さんの一番身近に寄り添うのは助産師さんです。渋谷の日赤医療センターにはたくさんの助産師さんや看護師さんが妊婦さんとお母さん、赤ちゃんのために働いています。赤ちゃんとお母さんの心身のためには、妊娠期からのケアが大切です。妊娠、出産、産後の女性の健康に効果を発揮する東洋医学を「産科領域のツボ療法」と題して行う機会をいただきました。自分の体で効果を感じていただくことが大切と体験講習を行ったのです。当日のデモンストレーションには、自らが妊娠中の助産師さんがモデルになってくださいました。はりやお灸による妊婦さんへの治療を始めて見学される方もいたようで、とてもにぎやかな一時でした。参加者の中には、ツボ療法やお灸の即効性を感じていただけた方もいたようです。今後は、母乳育児に役立つ妊娠期のケアの一つとして応用してくださることを願っております。

8/神奈川県 横須賀市助産師会 2005年5月12日

 横須賀市助産師会で「お産に役立つお灸のはなし」助産師さんに妊娠・出産に役立つ東洋医学をもっと身近に感じていただき、少しでも妊婦さんの健康と助産の一助になるとうれしいです。

9/2005年11月27日 子育てサポート交流会

 女性鍼灸師フォーラムに賛同してくださっている鍼灸師、按摩マッサージ指圧師の方、子育てサポートをしていこうとされている方などを交えて交流会を開催しました。地域でどのような協働を図っていくかをテーマに、各地での活動を神奈川県サポートセンターにて紹介してくれました。

10/2005年12月 東洋鍼灸専門学校

 地域医療学 「女性の健康管理における按摩マッサージ指圧師の役割」

11/2007年2月 日本助産師会 神奈川県支部にて

助産師らしい効果的な母親教室をつくるためにの一コマ担当

「鍼灸マッサージ師が行っている妊婦さんの教室」

12/助産雑誌 2007年3月号 「鍼灸でお腹の張りをとる」

13/第1回助産に活かす東洋医学セミナー

日時:2014年8月31日(日)10:001~16:00

■プログラム

午前:妊娠期に取り入れる東洋医学・妊婦の日常生活に取り入れる養生実践編・午後:妊娠期に利用されている鍼灸&つぼ療法・助産師が臨床で応用する妊産婦へのつぼ療法実践編

14/助産師、産科看護師のためのセミナー2回目

「助産に活かす東洋医学を取り入れた出産準備教室」

 日時:2015年(平成27)年8月30日(日)10:00~16:00 

■プログラム

午前:妊娠期に取り入れる東洋医学・妊婦の日常生活に取り入れる養生実践編・午後:妊娠期に利用されている鍼灸&つぼ療法・助産師が臨床で応用する妊産婦へのつぼ療法実践編

15/助産師さんへ妊娠中の鍼灸治療の効果を知っていただく講習会

   横浜お産ネットワークSANBAにて、講習会を行わせてもらいまいた。

16/かながわ母乳の会

 母乳育児のお母さん方のお役にも立ちたい東洋医学であることから、神奈川で行われた日本母乳の会の講演会で会の取り組み案内ちらし配布

 

 

2の記事/助産婦雑誌」54巻5号(2000年5月号)特集/周産期ホリスティック・ケア「助産婦さん!地域医療チームとして連携を図っていきましょう

  • 女性鍼灸師グループの活動から

私たち「ぷれる」結成時のメンバーは、同時期に東洋医学(鍼灸マッサージ)を取り入れながらマタニテイライフと産後を過ごしました。その際、妊娠中のマイナートラブルが改善したり、産後の疲労回復に効果を発揮したなど、とても有用であることをそれぞれが実感しました。そして、妊娠・出産・産後の鍼灸の情報を、より詳しく入手し、自分たち女性鍼灸師が、その情報と技術を必要とする女性にも提供できればと考えていました。毎年、11月3日は、一般と専門家が出会い、共に語り合い、学び合う「いいお産の日」イベントが開催されています。私たちも第2回「いいお産の日」に集って参加しました。 会場には、お産に関する情報がたくさん集まっていましたが、鍼灸のお産に関する情報は見られませでした。そこで、私たちは、妊婦さんをはじめ医療関係者の方々にも、逆子の場合には、お灸で治る可能性があることなど、鍼灸の情報提供をしていきたいと考え、1995年に女性と子どものための女性鍼灸師グループ「ぷれる」を結成しました。自主グループの活動としては1997年から、妊産婦さんや女性を対象に講習会や講演会などを東京と横浜を中心に開いてきました。「母乳育児と東洋医学」というテーマでの明治鍼灸大学の矢野忠教授の講演会には、助産婦さんの参加も多く見られました。妊娠中の鍼灸治療の安全性や、有用性を知っていただきました、また鍼灸治療が母乳をめぐる産後のトラブルにも効果的であることなど、理解していただくことができました。また、1998年は写真とパネルを用いて、「お灸で安産」展という展示会を行いました。6日間の展示期間中の来訪者数は、500名近くに達しました。このような5年間のグループ活動を通じ、多くの女性たちと接するなかで感じたことは、妊婦さんの”より自分らしい出産を!”と望む意識が高く、東洋医学への興味と期待も高いことでした。

  • 助産院での鍼灸外来

私が、二人目の子どもを出産したのは助産院でした。助産院での出産は、妊娠中からのお灸に加え、陣痛が始まってからも、自分自身で施灸を続けました。陣痛の波の合間にも施灸をし、出産を迎えました。私は、妊娠中に施灸を継続したことは、つわりや腰痛が改善されたことはもとより、体調もよくなり、元気に出産を迎えることができたように思っています。妊娠中から出産まで私に寄り添ってくださった助産婦さんは、その経過から、鍼灸治療やお灸に興味をもたれ、助産院の方針として、妊娠中のトラブルや出産までの一つの方法として鍼灸治療を取り入れることになりました。助産院の一室が鍼灸治療室となり、週に1日、鍼灸外来が始まりました。その助産婦さんは、妊婦自身が、精神的にも肉体的にもリラックスした状態にあるということが、出産への不安を和らげ、満足した妊娠生活に繋がると考えています。したがって、鍼灸治療により、妊婦の体調がよく、出産への不安が和らいでいると、分娩自体もスムーズに進むのではないかと考えておられるようです。また鍼灸外来は妊婦のマイナートラブルを緩和したりと、妊婦のニーズに適うものだったために好評でした。

鍼灸外来には妊娠中の腰痛や肩こり、背部痛、お腹のはり等を訴えて、様々な週数の妊婦さんが治療に訪れます。初産婦さんには助産婦さんの方から、「体調もよくなるようですよ、治療を受けてみたら」とのアドバイスもあるようです。鍼灸治療への期待はあっても、鍼灸治療を受けたことのない方は誰でも不安や、怖さが付きまといますが、そんな時に信頼関係がある助産婦さんからの助言は、妊婦さんにとって非常に心強く安心感を持っていただけたようです。また、同じ助産院の一室に併設されていて、女性鍼灸師が治療にあたるということも安心の材料になっています。一度鍼灸外来を受診した妊婦さんは、「お腹のはりの改善が見られた」「なんとなく調子がいいみたい」「からだが軽くなるようだ」と、継続された方がほとんどでした。出産後も体調がよく、長く母乳育児を継続された方が多いようです。そして、妊娠中一度でも鍼灸治療を受けた方は、産後に腱鞘炎や腰痛を起こした時なども、気軽に子ども連れで治療に訪れていました。

3,妊娠初期からのツボ療法&お灸教室のメリット

私は、妊婦さんに、もっと自分のからだと向き合う時間を作り、自分のからだの声と胎児の成長の声を聴いてほしいと思っています。その点でも、自分のからだやツボに触れることから始めるツボ療法はうってつけの手段ではないかと考えています。また、私は様々な場所で開かれている「妊婦のための母親教室」の中に、妊娠初期から出産時、そして産後のマイナートラブルの軽減と予防のために、セルフケアの方法としてツボ療法を取り入れて欲しいと願っていました。そんな時、前述とは別のある開業助産婦さんとの出会いがありました。妊婦さんに、出産までの各種情報を提供して、妊婦さん自身が必要とするものを選択し取り入れやすいようにしていきたいと考えていた助産婦さんでした。助産院では、各種教室が行われ、その中の一つとしてさっそく「安産のためのお灸教室」がスタートしました。お灸教室は、妊娠週数によってあらわれやすい各種マイナートラブルへの対処法と、流早産防止を図り、快適なマタニテイライフを過ごすことができるようなツボ療法の説明とアドバイスを行っています。安全のため、胎児が安定した妊娠5ヶ月以降から妊婦さん自身による施灸を薦めています。そのひとつに「安産のツボ」ともいわれる三陰交(さんいんこう)があります。安産といいますが、お産のときの効果だけではなく、妊娠中のむくみや冷えや肩こりなどにも効果があります。施灸する時間は、自分のからだと胎児に向き合い、からだからの声を感じる時です。また、出産まで施灸を続けることは、体調を維持し、胎児をしっかり育て、お腹に保ち、自分自身のパワーをつけていくことにつながると考えています。妊娠中のお腹のはりや、日頃の疲労回復を図り、体調をよくしていくことは、流早産の防止を図り、「自分の出産」をすることにもつながります。主体的に出産を考える動機作りにも役立つのではないかと考えています。妊婦さんが施灸を継続するには、施灸するとなぜいいのか?どう違うのか?を理解してもらうことが必要です。ぜひ、身近にいる、産科領域に詳しい鍼灸師を見つけて、お灸教室を助産の一助として活用してほしいと願っています。

  • 母乳外来との連携

助産婦さんの仕事のひとつとして、母乳相談や母乳マッサージがあります。母乳育児を支援していくためには、母乳をめぐる悩みやトラブルが発生したらすぐに相談や対処できる場所があるということが必要です。1997年、横浜助産婦ネットワーク「SANBA」主催の学習会「助産に活かす東洋医学、お灸で安産をめざす」で、「ぷれる」が講習を担当しました。そのご縁で地域の助産婦さんとのネットワークができ、私の治療室には、母乳トラブルを繰り返す母親が紹介されてきます。しかし、鍼灸治療が乳腺炎や母乳不足などに効果を発揮するということはほとんど知られていません。母乳外来だけでなかなか効果がみられない人には、鍼灸治療との併用をお勧めします。鍼灸治療は、からだが本来持つ自然治癒力に働きかけて諸症状を緩和します。また、乳房に直接、鍼灸刺激をしなくても治療効果をあげることができます。毎週のようにトラブルを繰り返す人、乳房のしこりや痛みがなかなか取れない人などには特にお勧めです。母乳トラブルに対してのケアを行いながら、母親の悩みや相談にものる助産婦さんは、治療のあいだに彼女らの気持ちを”癒し”ます。痛みや体調不良を訴えて治療に訪れる鍼灸院の患者さんにも、からだと心の”癒し”は同じように求められています。妊産婦さんにとって求められる存在、かけがえのない存在である助産婦さんと、信頼関係がある鍼灸治療院は、彼女らにとって癒しの場所に成り得ると確信しています。

5,地域での助産婦さんと鍼灸師の連携のメリット

東洋医学には、独特のからだの見方があり、その診断が治療に結びついています。妊婦さんが自分で探した三陰交のツボの位置と、鍼灸師が診る位置とではだいぶ違っています。ツボの位置だけでなく、各種症状も妊婦さん個人のからだから総合的に判断するのが望ましいことです。また、妊娠週数によって妊婦さんの不定愁訴も変化してきます。鍼灸師は、常に、患者のからだ全体と症状との関わりを探り、体調を整えながら症状の緩和をはかっています。出産までの妊娠中毒症の予防や、流早産の防止にもツボ&お灸教室が役立つと考えています。

お灸は専門の灸師による治療法として、またセルフケアの方法として受け継がれたきたもので、一度ツボの位置を確認してもらった後は自分ですえることができます。他人に繰り返し行う行為は違法となりますので、鍼灸師にツボの位置を確認してもらった後、自分でお灸をすることをすすめます。それには、身近にいる鍼灸師をぜひ活用していただきたいと思います。妊婦さんの快適妊娠生活と満足のいく出産を可能にし、妊婦さんのニーズに適うことと思います。

  • 手と手をつなぐために、女性鍼灸師フォーラム

インターネットやミニコミ誌あるいは個人的なネットワークにより、私たちの活動を知った全国各地の妊婦さんから、何処へ行って治療を受ければいいのか?の問い合わせがよくあります。しかし残念ながら各地域で活動する個人や自主グループを把握していません。また、何処へいっても必ず産科領域の治療が安心して受けられるのか今のところ判りません。

その期待に応えることができるように、1999年に女性鍼灸師フォーラムを発足させました。地域で活動する鍼灸師や自主グループのための学習会を提供していきます。すでに昨年から、産婦人科領域の学習会が始まっています。

一般の方々に鍼灸の有用性を理解してもらうためにも、情報が医療として納得できる根拠を持ち、かつある程度統一されていることが必要であると思います。妊産婦さんのだれもが安心して鍼灸治療を受けられるような状況を作るためには、鍼灸師自身の妊産婦さんへの知識や治療技術を向上させることはもちろん、各地域の女性鍼灸師の存在を明らかにすることも望まれています。各地の鍼灸師が助産婦のみなさんのお手伝いができるよう基盤作りを始めています。地域の医療チームとして連携を取り合えるような関係作りを目指していきたいと思います。最後に”癒し”のパラダイムにつながる「助産のパラダイム」は私たちが大切にしている「東洋医学のパラダイム」に共通することが多いのではないかと思っています。みなさんのお役に立てる鍼灸師がたくさん育つことを目指し活動を続けていきますので、よろしくお願いいたします。

文献矢野忠: 東洋医学の生命観からみた鍼灸医学の特徴について, 全日本鍼灸学会雑誌, 45ー4;225-231, 1995

 三砂ちづる:EBMの理論的根拠としての疫学, 助産婦雑誌, vol.53 No12;53-58, 1999

 石野信安:妊娠及び分娩に対する三陰交施灸の効果, 日本東洋医学雑誌, vol.6ー1;22-24, 1955

 形井秀一:, お灸について, 文化出版局編, 自然なお産がしたい, 35ー52,  文化出版局1988,